第58回 下水道研究発表会 開催報告
①開催概要
令和3年8月17日（火）～19日（木）に、大阪府大阪市のＡＴＣにおいて、「第58回下水道研究発表会」を開催いたしました。発表当日は、日本語口頭発表部門299編、英語口頭発表部門11編、日本語ポスター発表部門11編、英語ポスター発表部門3編の発表があり、総参加者数は1,303名でした（特別講演、パネルディスカッションの聴講者数を含む）。今回は、新型コロナウイルス感染症拡大防止を考慮し、通常の会場開催に加え、オンラインによる発表及び聴講もあわせて行いました。ポスター発表部門については会場のみの発表としました。
②口頭発表部門
日本語発表は1日目～3日目にわたり299編の発表があり、その内訳は、「特定課題セッション」として7セッション・32編、「通常セッション」として11セッション・267編でした（写真－１）。
写真－1 日本語セッション会場の様子
英語発表は2日目に行われ、「新技術（Technical Innovation）」、「計画と実施事例（Strategy and Best Practice）」、「サイエンスとテクノロジー（Science and Technology）」の3セッションに合計11編の発表がありました（写真－２）。
写真－2 英語セッション会場の様子
会場での聴講者数の多かったセッションは、表－１のとおりです。
なお、各発表者の当日のプレゼンテーション技術等について、日本語及び英語口頭発表部門ともに担当座長による審査が行われました。今後行われる本会設置の下水道研究発表会企画運営委員会（委員長：京都大学名誉教授 田中宏明教授）委員による論文の内容に関する審査結果とあわせて、優秀者に対する表彰を後日行う予定です。
| セッション名 | 入場者数 | 開催日 | |
|---|---|---|---|
| 1 | N-9-7 水処理技術（7） | 38名 | 8月17日 |
| 2 | N-2-2 雨水対策（2） | 28名 | 8月19日 |
| 3 | N-2-4 雨水対策（4） | 27名 | 8月19日 |
| 4 | N-10-1 汚泥処理技術（1） | 27 | 8月17日 |
③ポスター発表部門
ポスター発表部門は、日本語ポスター発表11編、英語ポスター発表3編の発表がありました。ポスターを会場及びホームページに掲示し、2日目の発表時間には発表者と参加者が自由に意見交換・質疑応答を行いました。その中から下水道研究発表会企画運営委員会委員、座長の審査を経て、優秀者の表彰式を３日目に行う予定でしたが、会場内での密接状態を避けるため中止しました。後日、口頭発表部門の表彰式と一緒に行う予定です（写真－３）。
写真－3 口頭発表の様子
④特別講演
1日目の11時～12時にコンベンションルーム１において、「大阪市下水道、この50年 ～万博から万博へ～」をテーマに、元・大阪市建設局長、前・クリアウォーターＯＳＡＫＡ株式会社代表取締役 福井聡氏による特別講演が行われました。当日の聴講者数は168名(ライブ配信の聴講者含む)でした。長年にわたり大阪市の下水道をけん引されてこられた経験を踏まえ、前回大阪万博が開催された1970年当時の下水道を取り巻く状況から、現代、更に2025年の開催に向けて、果たした役割、取り組むべき課題など幅広い視点から講演いただきました（写真－４）。
写真－4 口頭発表の様子
⑤パネルディスカッション
1日目の13時～15時に同じくコンベンションルーム１において、「管路の維持管理 ～持続性、強靭性の確保に向けて～」をテーマに、パネルディスカッションが行われました（写真－５）。コーディネーター・パネリストは、表－２のとおりです。当日の聴講者数は113名(ライブ配信の聴講者含む)でした。
最初に末益氏から国の施策等について、原田氏から大阪市における下水管路の計画的維持管理について、戸谷氏から横浜市下水道事業における管路マネジメントの取組について、小泉氏から柏市の下水道管路の包括的民間委託について、五枝氏から富田林市の下水道管渠長寿命化ＰＦＩ事業について講演が行われました。
その後、包括的民間委託やＰＦＩを導入した効果、各自治体が抱えている課題等について意見交換が行われました。
最後に末益氏より、下水道事業を持続的に運営していくためには、より一層官民が連携して取り組んでいく必要があること、特に人材育成の面で、技術継承を行い、技術力を高めていくといった点から、このような研究会議や研修が重要になってくることといった総括がなされました。
| コーディネーター | 国土交通省 水管理･国土保全局下水道部 下水道事業課 事業マネジメント推進室 課長補佐 |
末益 大嗣 氏 |
|---|---|---|
| パネリスト | 大阪市建設局 下水道部 事業計画担当課長 | 原田 俊崇 氏 |
| 横浜市環境創造局 下水道管路部 管路保全課 担当課長 | 戸谷 公朋 氏 | |
| 柏市土木部 下水道維持管理課 副参事 | 小泉 雄司 氏 | |
| 富田林市上下水道部 下水道課 整備係長 | 五枝 茂幸 氏 |
写真－5 パネルディスカッションの様子
⑥交流会
例年、下水道技術等に関して自由に意見交換を行っていただくことを目的として、発表者、聴講者、座長、下水道研究発表会企画運営委員等、下水道研究発表会の参加者を対象に行っております交流会は、今回、密接な環境を避ける必要があることから、残念ながら中止といたしました。
⑦おわりに
今年の下水道研究発表会は、会場及びオンラインを使用した初めてのハイブリッド開催で行われました。座長、発表者、聴講者はそれぞれ会場とオンラインの二つの参加方法があり、また、ポスター発表は会場に限られるなど、質疑応答や意見交換などが自由に行いづらい状況の中、大きな混乱もなく全ての発表を行うことができました。これもひとえに参加された皆さま方の多大なる御理解、御協力の賜物と考えております。次年度以降も更なる発表会の活性化を進めるべく運営に努めて参ります。
最後になりますが、第58回下水道研究発表会に参加された皆さま、並びに本研究発表会に御協力いただいた関係者の皆さま方に誌面をお借りしてあつく御礼申し上げます。
次回「第59回下水道研究発表会」は、令和４年８月上旬に東京都にて開催予定です。来年度は、困難な状況が乗り越えられ、下水道研究発表会の目的の一つでもあります、充実した意見交換の場となりますよう期待してやみません。皆さまの御参加を心よりお待ち申し上げます。
