第56回 下水道研究発表会 開催報告
①開催概要
令和元年8月6日(火)~8日(木)に、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜会議センターにおいて、「第56回下水道研究発表会」を開催いたしました。発表当日は、日本語口頭発表部門389編、英語口頭発表部門23編、日本語ポスター発表部門21編、英語ポスター発表部門4編の発表があり、総参加者数は2,609名でした(特別講演、パネルディスカッションの聴講者数を含む)。
②口頭発表部門
日本語発表は1日目~3日目にわたり389編の発表があり、その内訳は、「特定課題セッション」として7セッション・68編、「通常セッション」として11セッション・321編でした(写真-1)。
3年目となります英語口頭発表部門は2日目、3日目にわたり3セッション・23編の発表がありました。
写真-1 口頭発表の様子
聴講者数の多かったセッションは、表-1のとおりです。
なお、各発表者の当日のプレゼンテーション技術等について、担当座長による審査が行われました。今後行われる本会設置の下水道研究発表会企画運営委員会(委員長:京都大学大学院工学研究科 田中宏明教授)委員による論文の内容に関する審査結果とあわせて、優秀者に対する表彰を後日行う予定です。
セッション名 | 入場者数 | 開催日 | |
---|---|---|---|
1 | N-9-2 水処理技術(2) | 132名 | 8月7日(水) |
2 | N-9-6 水処理技術(6) | 128名 | 8月8日(木) |
3 | N-10-1 汚泥処理技術(1) | 124名 | 8月6日(火) |
4 | N-10-3 汚泥処理技術(3) | 121名 | 8月7日(水) |
5 | N-1-3 経営・計画(3) | 120名 | 8月7日(水) |
③ポスター発表部門
ポスター発表部門は、日本語ポスター発表21編、英語ポスター発表4編の発表がありました(写真-2)。その中から下水道研究発表会企画運営委員会委員、2日目に来場された口頭発表セッション座長の審査を得た後、厳正なる審議の結果、日本語ポスター発表から最優秀賞1編、優秀賞1編、佳作2編、英語ポスター発表からは最優秀賞1編、優秀賞1編が選出されました。
表彰式は、3日目にポスター発表会場の3階フォワイエで行われ、田中委員長から各受賞者へ表彰状が授与されました(写真-3)。
各賞の受賞者は、表-2(佳作は氏名の五十音順)のとおりです。
日本語ポスター | 発表題名 | 所属 | 受賞者氏名 |
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最優秀賞 | 水の魅力を活かした地域活性化手法の検討事例 ~若者がミズから描く未来討論会~ |
(株)日水コン | 津島 優樹 氏 |
優秀賞 | 汚泥中未利用窒素の資源化による省エネルギー・低炭素化へのポテンシャル試算 | 清水建設(株) | 小島 啓輔 氏 |
佳 作 | 嫌気性中空糸型MBRの実下水処理に関する温度の影響 | 東北大学院 | 五十棲 直子 氏 |
地域の植物性廃棄物と下水汚泥の混合脱水ケーキを用いたコンポスト化の基礎調査 | (株)石垣 | 三田 高裕 氏 |
英語ポスター | 発表題名 | 所属 | 受賞者氏名 |
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最優秀賞 | Creation of reducing agent by waste paper decomposition for advanced waste water treatment | 神奈川工科大学 | 杉之間 大貴 氏 |
優秀賞 | Determination of organic acids penetration depth by alkaline marking method | 東京工業大学 | Pramuankosonyut Tasapon 氏 |
写真-2 ポスター発表の様子
写真-3 ポスター発表セッション表彰式の様子
④特別講演
1日目に501ルームにおいて、「オリンピックと下水道~過去・現在・未来」をテーマに、日本大学客員教授 前田正博氏による特別講演が行われました。当日の聴講者数は229名でした(写真-4)。
前田氏は東京都下水道局長などを歴任し、長年にわたり東京の下水道界をけん引されておられ、前回東京オリンピックが開催された1964年当時の下水道を取り巻く状況から、現代、更に2020年の開催に向けて取り組むべき課題に関して幅広い知見から講演いただきました。
※本講演の詳細は、後日下水道協会誌にて掲載予定です。
写真-4 特別講演の様子
⑤パネルディスカッション
1日目に501ルームにおいて、「大規模災害と災害対策」をテーマに、パネルディスカッションが行われました(写真-5)。コーディネーター・パネリストは、表-3のとおりです。当日の聴講者数は174名でした。
最初にパネリストである宗氏から国の施策等について、地崎氏から昨年9月の北海道胆振東部地震にかかる札幌市の被災状況と災害対応について、柴崎氏から昨年7月の豪雨災害にかかる広島市の被災状況と復旧について、石井氏から横浜市における下水道BCPの取組について、西村氏から市民代表からみた昨年7月の豪雨における岡山市の状況について講演が行われました。
その後、コーディネーターの斎野氏から昨年7月の豪雨における岡山市の状況及び取組についての報告を伺いながら、災害協定や避難所での排せつ物処理等といった災害発生時における様々な課題について、行政、市民双方の視点からの意見交換が行われました。
コーディネイター | 岡山市下水道河川局長 | 斎野 秀幸 氏 |
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パネリスト | 国土交通省水管理・国土保全局下水道部 下水道事業課事業マネジメント推進室課長補佐 |
宗 琢万 氏 |
広島市下水道局施設部長 | 柴崎 誠 氏 | |
札幌市下水道河川局事業推進部管路保全課長 | 地崎 淳宏 氏 | |
横浜市環境創造局下水道計画調整部 下水道事業マネジメント課担当課長 (下水道計画担当) |
石井 智博 氏 | |
岡山市安全・安心ネットワーク連絡協議会 防災専門部会長 |
西村 輝 氏 |
写真-5 パネルディスカッションの様子
⑥交流会
2日目に、315ルームにおいて、交流会を開催いたしました。
この交流会は、下水道技術等に関して自由に意見交換を行っていただくことを目的として、発表者、聴講者、座長、下水道研究発表会企画運営委員等、下水道研究発表会の参加者を対象に行ったもので、当日は52名の参加がありました。
研究機関、地方公共団体、海外の下水道事業者といった幅広い職種の方に参加いただき、貴重な意見交換の場となりました(写真-6)。
写真-6 意見交換の場となった交流会の様子
⑦おわりに
今年は、11年ぶりの横浜開催ということで、例年にも増して多数の方に御参加いただきました。当会会員の方だけでなく非会員の方や海外からの来場者もあり、盛大に開催することができました。
次年度以降も積極的なPRを行うなど、発表会の活性化を進めるべく運営につとめて参ります。
最後になりますが、第56回下水道研究発表会に参加された皆さま、並びに本研究発表会に御協力いただいた関係者の皆さま方に誌面をお借りして厚く御礼申し上げます。
次回「第57回下水道研究発表会」は、令和2年8月中旬に大阪府大阪市にて開催いたします。来年度の御参加を心よりお待ち申し上げます。