第50回 下水道研究発表会 開催報告

①開催概要

平成25年7月30日(火)~8月1日(木)に、東京ビッグサイト会議棟にて、「第50回下水道研究発表会」を開催しました。今年は、口頭発表セッション344編、ポスター発表セッション18編の計362編の発表があり、総聴講者数は1,736名でした(特別講演、パネルディスカッション等を含む)。

②口頭発表セッション

聴講者数の多かった上位セッションは、以下の表の通りでした。アセットマネジメントに関する取り組み(保全計画等)のセッションや、水処理技術に関するセッションは聴講者が多く、注目が集まっていました。また、汚泥処理技術の最新の取り組みについても関心が集まりました。
各発表者の当日のプレゼンテーション技術等についての担当座長による審査結果と、本会設置の下水道研究発表会企画運営委員会(委員長:東京大学大学院工学系研究科 花木啓祐教授)の委員による論文の内容に関する審査結果と合わせて優秀者を選定し表彰を後日、行う予定です。

表 聴講者の多かった口頭発表セッション
  セッション名 入場者数   セッション名 入場者数
1 S-1-1 アセットマネジメント(1) 127名 5 N-3-2 環境・再生・リサイクル(2)
(処理場のエネルギーポテンシャル)
100名
2 N-9-2 水処理技術(2)
(高度処理)
111名 5 N-10-3 汚泥処理技術(3)
(脱水設備)
100名
3 N-9-1 水処理技術(1)
(曝気風量制御)
106名 5 N-10-4 汚泥処理技術(4)
(濃縮・脱水)
100名
4 N-9-3 水処理技術(3)
(高度処理)
105名  


口頭発表の様子


参加者からの質問も

③ポスター発表セッション

ポスター発表セッションは、国内外合わせて18編の発表がありました。その中から下水道研究発表会企画運営委員会の委員と第2日目(7月31日)に来場された口頭発表セッションの各座長の審査を得た後、厳格なる審議の結果、最優秀賞1編、優秀賞2編が表の通り選出されました。

表 第50回下水道研究発表会ポスター発表セッション 審査結果(敬称略)
発表題名 所属 受賞者氏名
最優秀賞 コーヒーかすと余剰活性汚泥の共発酵によるバイオガス回収 別ウィンドウで開きます 東北大学大学院 高柳 和幸
優秀賞 嫌気性消化プロセスにおける指標細菌の消長について 別ウィンドウで開きます 東北大学 東森 敦嗣
優秀賞 タイ・バンコクにおける開発途上国
向け下水処理技術の実証試験 別ウィンドウで開きます
(独)国立環境研究所 小野寺 崇

☆発表題名をクリックすると、各ポスターの写真がご覧になれます。
また、ポスター発表セッションの表彰式を、8月1日の11時45分~12時に、6Fロビーで行い、花木委員長から各受賞者へ表彰状が授与されました。


ポスター発表の様子


右は最優秀賞を受賞した東北大学大学院の高柳氏、
左は花木委員長

④特別講演

7月30日の11時~12時に、1FレセプションホールAにて、東洋大学常務理事(東洋大学元学長、東京大学名誉教授、日本下水道協会名誉会員)の松尾 友矩氏による特別講演が行われました。
テーマは、「50年のあゆみと未来への発信」で、来場者は224名でした。下水道の発展と下水道研究発表会の関係、今後の下水道施設の管理の重要性をご講演頂きました。


松尾氏による特別講演

⑤パネルディスカッション

7月30日の13時30分~15時30分に、1FレセプションホールAにて「危機管理を含めたアセットマネジメント」というテーマで、パネルディスカッションが行われました。来場者は163名で、下水道施設のアセットマネジメントに関するこれまでの取り組みや、今後の下水道関係者が果たすべき役割や人材育成の重要性について、ご議論頂きました。コーディネーター・パネリストは、以下の表の通りです。

表 パネルディスカッションのコーディネーターとパネリスト
  所属 氏名
コーディネーター 東京大学大学院工学系研究科 都市工学専攻教授 滝沢 智 氏
パネリスト 国土交通省水管理・国土保全局 下水道部流域管理官 加藤 裕之氏
仙台市建設局 下水道経営部下水道計画課主査 安附 太郎氏
東京都下水道局 計画調整部計画課長 新谷 康之氏
大阪市建設局 下水道河川部調整課長 寺川 孝氏
日本下水道事業団 福島再生プロジェクト推進室長 野村 充伸氏
日本下水道管路管理業協会 理事 三品 文雄氏


コーディネーターを務められた滝沢教授


パネリストの皆さん(右から加藤氏、安附氏、新谷氏、寺川氏、野村氏、三品氏)

⑥交流会

7月31日の17時30分~19時に、8Fアルポルト(レストラン)にて、交流会を実施しました。この交流会は、下水道技術・経営等について自由な意見交換や、懇談して頂くことを目的に、発表者、聴講者、座長、下水道研究発表会企画運営委員会委員等、下水道の業務・研究に携わられている方を対象に行いました。参加者は47名で、研究機関、地方公共団体、民間企業等といった幅広い関係者の方にご参加頂き、貴重な意見交換の場となりました。


意見交換の場となった交流会の様子

⑦交流の広場

今回より参加者、発表者の方々の情報交換の場として、オープンスペースの無料の意見交換コーナー「交流の広場」を6F受付ロビー付近に設置しました。交流の広場では、冷茶を用意し、第50回という記念の節目を迎えた研究発表会や講演集の変遷を写真や図表等で紹介する「第50回記念パネル」や過去の講演集を展示した事もあり、多くの人にお立ち寄り頂きました。


にぎわいを見せる「交流の広場」

⑧おわりに

研究発表会も時代の流れとともに、発表セッション(ジャンル)も多様化し、発表者も学生を含めて裾野が広がっている事から、本発表会の意義を強く感じました。第50回を迎える事が出来たのも、下水道界における諸先輩方が築き上げてきた歴史や伝統があってこそです。事務局として、ここに深く御礼申し上げるとともに、下水道界のますますの発展を願い、これからも研究発表会の運営に務めて参ります。
最後になりますが、第50回下水道研究発表会にご参加された皆様、並びにご協力いただいた関係者の皆様方に厚く御礼申し上げます。次回の「第51回下水道研究発表会」は、平成26年7月22日~24日に、大阪市にて開催の予定です。次回のご参加をお待ちしております。