第49回 下水道研究発表会 開催報告

①開催概要

平成24年7月24日(火)~26日(木)に、神戸国際会議場にて、第49回下水道研究発表会を開催しました。今年は、口頭発表セッション358編、ポスター発表セッション18編の計376編の発表があり、総聴講者数は1,615名でした(特別講演、パネルディスカッション等参加者を含む)。

②開会式

本研究発表会の開会式は、下水道展と共に7月24日の9時30分~10時30分に神戸国際展示場1号館1階「特設会場」にて行いました。また、その中では、下水道研究発表会企画運営委員会 花木委員長にご挨拶頂きました。

③口頭発表セッション

口頭発表セッションは、358編の発表があり、その内訳は、「特定課題セッション」として12セッション・70編の発表が、また、「通常発表セッション」として36セッション・228編の発表がありました。さらに、今回は東日本大震災に関連した「大震災特別セッション」として9セッション・60編の発表がありました。
聴講者数の多かった上位セッションは、以下の表の通りでした。BCP・リスクマネジメント等の地震・災害時の危機管理対応に関するセッションは聴講者が多く、注目が集まっていました。また、各種バイオマスの利活用・りん等有用資源の回収のセッション等、汚泥処理技術の最新の取り組みについても関心が集まりました。
各発表者の当日のプレゼンテーション技術等について、担当座長による審査を得ましたので、本会設置の下水道研究発表会企画運営委員会(委員長:東京大学 花木教授)の委員による論文の内容に関する審査結果と合わせて、優秀者に対する表彰を後日、行う予定です。口頭発表審査結果はこちら

表 聴講者の多かった口頭発表セッション
  セッション名
1 S-7-1  BCP・リスクマネジメント(1)135名
2 S-4-2  各種バイオマスの利活用(2)/りん等有用資源の回収(1)130名
3 S-5-1  膜処理技術(1)120名
4 N-3-2  消化ガス利用/固形燃料化110名
5 S-4-1  各種バイオマスの利活用(1)108名
6 N-10-2  汚泥処理技術(2)104名
7 S-14  放射能対応100名
8 N-10-1  汚泥処理技術(1)99名
9 N-9-3  高度処理(1)93名


口頭発表の様子


注目の高い発表には立ち見も

④ポスター発表セッション

ポスター発表セッションは、国内外合わせて18編の発表がありました。その中から本研究発表会企画運営委員会の委員と第2日目(25日)に来場された口頭発表セッションの各座長の審査を得た後、厳格なる審議の結果、最優秀賞1編、優秀賞1編、佳作2編が選出されました。各賞の結果は、次の表の通りでした。

表 第49回下水道研究発表会ポスター発表セッション 表彰結果(敬称略)
発表題名 所属 発表者氏名
最優秀賞 下水処理場に由来するメタン・亜酸化窒素の直接排出と間接排出の割合に関する考察 別ウィンドウで開きます 秋田工業高等専門学校 増田 周平
優秀賞 浸漬型嫌気性膜分離法(SAMBR)に
よる下水の二次処理の可能性 別ウィンドウで開きます
東北大学 砂庭 崇之
佳作 民間の技術開発を促進する共同研究手法 別ウィンドウで開きます 東京都 齋藤 正二
佳作 回転羽根付汚泥掻寄機による重力濃縮槽の機能改善 別ウィンドウで開きます (株)西原環境 佐藤 一宏

☆発表題名をクリックすると、各ポスターの写真がご覧になれます。
また、ポスター発表セッションの表彰式を、7月26日の午前11時45分~12時に、神戸国際会議場 5Fロビーで行いました。


ポスター発表の様子


最優秀賞を受賞した秋田工業高等専門学校のポスター
(右は秋田工業高等専門学校の増田氏、左は花木委員長)

⑤特別講演

7月24日の10時40分~12時に、国際会議場1Fのメインホールにて、関西大学理事・社会安全研究科長・社会安全学部長の河田 惠昭教授による特別講演が行われました。テーマは、「大震災とどう向き合うか~阪神・淡路、東日本大震災からの教訓」で、来場者は236名でした。
講演では、
・「減災」とは ・「レジリエンス(Resilience)」とは
・遅れている復興事業 ・減災(安全・安心)の目的
・社会の減災力を高める ・首都直下地震を阻止する減災研究
・南海トラフ巨大地震を阻止する減災研究
・二度と「想定外」を起こさない
という項目についてお話し頂きました。


河田教授による特別講演


特別講演の様子

⑥パネルディスカッション

7月24日の15時~17時30分に、国際会議場1Fメインホールにて「持続可能な社会に向けて~下水道とエネルギー」というテーマで、パネルディスカッションが行われました。来場者は125名で、①テーマの背景、ディスカッションの方向性、論点等の紹介、②各パネリストからのプレゼンテーション、③ディスカッション(フロアからの質問)、④今後、期待される推進策、⑤まとめ、という流れで活発な討議がなされました。コーディネーター・パネリストは、以下の表の通りです。

表 パネルディスカッションのコーディネーターとパネリスト
  所属 氏名
コーディネーター 東京大学大学院教授
(本研究発表会企画運営委員会委員長)
花木 啓祐氏
パネリスト 国土交通省 水管理・国土保全局 下水道部
下水道企画課 下水道国際・技術調整官
白﨑 亮氏
(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構
省エネルギー部 主任研究員
松林 成彰氏
日本下水道事業団 技術戦略部長 野村 充伸氏
神戸市建設局下水道河川部長 畑 恵介氏
神戸新聞論説委員 藤井 洋一氏


コーディネーターを務められた花木委員長


パネリストの皆さん(右から白﨑氏、松林氏、野村氏、畑氏、藤井氏)

⑦交流会

7月25日の18時~19時30分に、国際会議場3Fレセプションホールにて、交流会を実施しました。この交流会は、下水道技術・経営等について自由な意見交換を行い、今後の下水道界における新たな指標等を模索しながら懇談して頂くこと等を目的に、発表者、聴講者、座長、発表会企画運営委員会委員等、下水道等の業務・研究等に携わられている方を対象に、今回初めての試みとして行いました。参加者は60名で、研究機関、地方公共団体、民間企業等といった幅広い職種の方にご参加いただき、貴重な意見交換の場となりました。


立食形式での交流会の様子

⑧総括

今年の下水道研究発表会では、特定課題セッションの中に東日本大震災に関連した「大震災特別セッション」を設けたこともあり、前年より発表件数が大幅に増加し、過去5番目に多い発表数(376編)となりました。また、聴講者数も1,600名を越えたのは、過去1回しかなく、2番目に多い結果となりました。
最後になりますが、第49回下水道研究発表会にご参加された皆様、また開催地であります神戸市、並びに本研究発表会にご協力いただいた関係者の皆様方に厚く御礼申し上げます。また、次回の「第50回下水道研究発表会」は、平成25年7月下旬に、東京都にて開催いたします。第50回という節目の回にちなんだ企画等も現在、検討しておりますので、来年度のご参加もお待ちしております。